Vol.10 米田工機株式会社 代表取締役副社長 北川将治

輝く場所におじゃまします

使命感に満ちた仕事

導入数急増中の液体急速凍結機リ・ジョイスフリーザー。

-35℃の液体で食品を冷凍するため、鮮度や旨味もそのまま維持できます。

今回は、そんな高品質な液体急速凍結機を製造する米田工機株式会社に代表取締役副社長として就任された北川様へ仕事に対する考え方などお伺いさせていただきました。

会社の歴史

1961年創業、今年で62年目になります。
先々代が家族で氷を利用した冷蔵庫(氷を入れて氷の蓄熱を使った冷蔵庫)の受注生産・販売を始めたのが会社のはじまりです。その後、先々代の息子(先代)と奥様で引き継ぎましたが、1980年代に入り大手メーカーが大量生産に乗り出し、価格競争が激化したことで、家族単位では価格的に合わず、他の事業を展開することになりました。
それがステンレス板金加工の仕事です。大手メーカーに足を運び、板金加工のノウハウを培うために図面の見方から学びました。この板金加工事業の拡大によって、社員の増加も実現することができました。
私が入社した2002年にも板金加工の仕事はありましたが、回転寿司のコンベア製造がメインでした。他にもOEMで液体急速凍結機や生ごみ処理機の製造も手掛けるようになりました。

新たな道を歩む

父が服飾関係の仕事だったこともあり、大学卒業後、紡績メーカーに営業として入社しました。その会社が1年半ほどで廃業してしまい、そこから別の会社で営業として働きましたが、次第に「営業以外の仕事がしたい、物作りに携わりたい」と考えるようになりました。
そんな時、妻の父親が経営する米田工機株式会社から声をかけてもらったんです。親族の会社に入るのは少し抵抗があったんですが、営業は担当しないという約束の元、入社を決めました。

挑戦の連続

物作りに携わりたいと入社しましたが、溶接機に触れる機会はなかなか与えられず、厳しい指導を受ける日々が続きました。それがとても新鮮で、楽しく感じたのを覚えています。

 数年後、図面を受け取って一人で作業ができるようになった頃、突然先代に呼ばれ「二週間後から営業や。生ごみ処理機を売りなさい。」と営業に配属されました。OEMではなく、自社製品である生ごみ処理機の販促を担当するという指示でした。

急にはできないと思い、まずは組み立て作業に携わりたいと希望を出しましたが、「世の中時には、二段飛び三段飛びや。」と説得されました。自分一人で覚えるしかなかったので、生ごみ処理機の機械的な部分やメンテナンス方法から覚えました。次第に営業に行きながらも、機械が調子悪いと相談を受けたら、原因まで答えられるようになりました。

リーマンショック後の挑戦と成長

それから3~4年後、ようやく営業活動が安定してきた頃に、リーマンショックが起き、これまで手がけてきた案件が一瞬で吹き飛んでしまいました。

この困難な状況の中、先代から再び突然の指示がありました。今度は自社製品の液体急速冷凍機の営業を担当することになったのです。初めは「生ごみ処理機はまだ需要があるのではないか」と思い、自分の中でいろいろ作り上げてきたものもあるので抵抗はありました。ただ、事務所から工場内の様子を見ることができ、現場の人たちが一生懸命掃除をしている姿を目にしているうちに、新たな仕事を取ることが優先されるべきだと確信しました。

液体急速凍結機に営業をシフトしながら、設計担当が引退間近の2人しかいないことに気が付きました。後継者がいないという事態に直面し、設計を教えてもらいながら営業業務もこなす日々が続きました。

突然経理がいなくなったこともあったので、その時の埋め合わせも私が担当しましたね。営業、技術、経理を覚えたことで、例えば外注さんとの打ち合わせ時に、技術的なこととお金の話を一緒にできるので効率良くなりました。

経営の舵取り

今年の4月に新たな経営体制がスタートし、代表取締役社長を米田が、副社長を私が担うことになりました。
役職が変わり、仕事内容は増えました。数百円や数千円のメンテナンス部品を見積もりする一方で、資金繰りのチェックや銀行との交渉なども担当するようになりました。 以前は最終的な判断が先代に委ねられていた状況から、私たちにその役割が移ったことの変化は大きいですが、代表の米田と相談しながらできるのでやりやすいです。本来代表は一人なので、恵まれていると感じます。

次の世代へのバトン

この先20年を考えた時に、社員の定年退職や定年直前の人が多くなります。求人募集してもなかなか集まりにくいのが現状なので、週休2日制の導入を計画中です。32人いる社員の中で外国人が7人いるので、国籍関係なく働きやすいと思います。
さらに、この4月から時代に合わせた福利厚生・就業規則へ見直しました。20年後に安心して次の世代に繋げていこうと思ったら、新たな人材を確保する必要があります。

目標給与増加と結束力を高める秘訣

この10年間で社員の給料5割増を目標にしています。せっかくこの会社で出会えた社員なので、一番良いのは仕事するときは集中して、プライベートも充実させることですよね。この目標を掲げたときに、何を強化していくのかという考えが必要になるので、それを考えること自体も目標ですね。

あとは、社内での意見の衝突は避けられないものですが、お互い思いやりを持ちながら全員が同じ方向を向くために、先ずは経営理念を全員が暗唱できる事を直近の目標としています。ベクトルを同じ方向に持っていきながら、会社もそれに応えるためにお給料も増やすことが必要ですよね。

仕事とは人生

以前上司に、「仕事楽しいか」と聞かれた際に「いや、使命感ですかね」と答えたことを今でも覚えています。私はとにかくやらなければならないという気持ちでここまで来ました。社員にも冗談で「社畜の鏡ですね」と言われるほど、人生において仕事がメインですね。例えば仕事外での会話の際に他の人が家庭や子供について話している中、私は当時の仕事での苦労や挑戦を思い出し、仕事が基準となってしまうことがあります。

今までお話ししたように米田工機株式会社は、オンリーワンの技術や伝統を守り抜いてきたというわけではなく、物作りが中心にある中で、その時々のニーズに合わせてさまざまな製品を作り出し、常に変化をしてきました。今ではメイン商品が液体急速凍結機ですが当時先代が枠にとらわれずバーン!と大胆な発想で道を切り拓いたことはすごいです。これからも先代のように状況を見極めて前進していきます。

米田工機株式会社様は他にも「スパイラル冷却コンベア」や「食肉加工機器スーパーデュオ」など様々な商品を取り扱っております。

突然の指示に対して気持ちに前向きも後ろ向きもなく、使命に忠実に取り組むことが上に進む道を開くことを教えて頂きました。なかなか心が揺れ動くことは避けられないかもしれませんが、北川様のように思いやりを大事に行動していきます。

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