対談インタビュー REAL No.11

対談:REAL

はじめに

島田:厨房業界とは異なる業種の方と対談する『REAL』。第11回となる今回は、弊社の社員旅行のプロデュース等長年お付き合いあります、つばめ交通山内さんとお話しさせていただきます。本日はよろしくお願いします。

山内:こちらこそよろしくお願いします。

つばめ交通

島田:つばめ交通の名前の由来はなんですか?

山内:諸説ありますが、創業者である祖父が、戦後に八百屋を始めましたが、食べていくには他の事業をする必要があると模索する中で、岩国に米軍基地が設置され、アメリカ人が広島でお酒を飲むための送迎をスタートさせたそうです。会社名を検討する際、つばめを見かけ、「あんなに早く飛ぶのにぶつからないのはすごい」と思い名付けたそうです。あと、つばめは幸せを運んでくる鳥として縁起の良い象徴ともされました。

G7サミット

島田:さっそくですが、今年話題になった件についてお伺いしたいと思います。2023年5月19日から21日の3日間、広島でG7サミットが開催され、交通網をつばめ交通さんが担っておりましたが、どういう経緯がありましたか?

山内:経緯としては外務省からの依頼でした。以前からG20といった広島へ主要人が訪問する際は車両手配をお手伝いしていたこともあり、今回も依頼を頂いた形となります。

島田:大変だったことはありますか?

山内:当日よりも準備期間がとても大変でした。まず、移動用のハイエースを80台程確保する必要がありました。弊社は9台所有していましたが、広島市で最大の所有数でした。そのため、約50の企業にお声かけし、協力をお願いしました。そのほか大使館から直接オーダーの対応やシャトルバスの準備など、色々な手配や交渉、とりまとめを行いました。
当日は事前の準備をしっかり行ったことで、大きなトラブルもなく安心安全に終えることができ、このような重大なイベントをお手伝いさせていただいたことは、我々としてとても誇らしいことでした。

島田:ゼレンスキーさんが来日することはご存じでしたか?

山内:来日について一部の方は知っていたらしいですが、ほとんどの人は知らず突然の対応となったそうです。弊社は初めに車両手配について声がかかりましたが、最終的には東京の会社さんが対応されていました。

交通業界

島田:G7サミット開催前に5類に引き下げられ、徐々に以前の生活に戻ってきておりますが、コロナ禍を経て現在の交通業界はどうですか。

山内:この業界に限らないと思いますが、経営難や後継者不足が深刻になってきています。色々な再編案の一つにアウトソーシングがあると思いますが、タクシーやハイヤー、バスといった弊社の仕事では、どうしても人手が不可欠ですので、どちらかというと弊社は人を集めてアウトソーシングを受ける側の会社であるという認識があります。

島田:弊社は少数精鋭の社員にして、アウトソーシングをする側として色々編成していきました。アウトソーシングを受ける側として今後の展開など考えはありますか?

山内:タクシーに関しては、全国的にドライバー不足が深刻化している状況です。特に地方だと地元民の不便性に直結しかねないので、採用をどんどん増やしていき従業員数300人を目指していきたいと考えています。
ハイヤーやバスに関しては、運転手を求められる富裕層の方の需要増加や、社員旅行を段取りから引き受けたり、まだまだ伸びしろがあると感じていますので、活用してもらえるようにPRしていこうと考えております。

島田:ドライバー不足ということですが、従業員の新規採用だけでなく、同業との連携を進め、まとめてつばめ交通グループとしていきたいという考えはありますか?

山内:従業員数を増やす面ではいいのですが、他社と合併する場合、ドライバーの方がつばめ交通のやり方に合わないと感じてしまうかもしれませんので、今のところは考えておりません。

デジタル化

島田:交通業界でデジタル化に取り組んでいることはありますか?

山内:現在タクシー業界では配車アプリ等の活用や海外だと「Uber」といったライドシェアの動きがかなり進んできています。ですが、日本では一般のドライバーが営利目的で他の人を運ぶことは白タク行為として禁止されております。そういった法規制の問題がありますが、そこが変われば大きく業界の構図も変わっていくのは間違いないかと思います。

島田:例えば地方といったドライバーがおらずタクシーに乗車できない地域に対して、住民の足を確保するライドシェアなど需要が高まると思います。一報で、米Uber社の日本法人が2015年に福岡市でライドシェアの実証実験を行うも、道路運送法に抵触する可能性があると判断され行政指導が行われた例もあります。タクシー協会が規制緩和に反対したニュースも記憶に新しいですが、どうお考えですか?

山内:以前「CREW」というライドシェアアプリがありましたが、運賃設定や事故が起きた場合の責任問題といった課題が浮き彫りとなり、とん挫しました。
ライドシェアはアプリで同乗者を募ることで費用を割り勘にしながら移動ができ、タクシーに乗車できない地域でも移動がしやすいという面で便利ですが、日本ではまだまだ浸透しておらず、安全性等の観点から乗りたがらない人が多いのが現状です。そのため日本のタクシー業界は、確立された安全性や信頼性の仕組みを持つことで、今後も必要とされ続けていくと思います。

今後の目標

島田:今後の目標などありますか?

山内:交通事業者ではなく、安心提供者となっていけるようにしていきたいと思っています。経営理念に掲げている、『私達つばめ交通は人に優しく人と社会のお役に立つ企業を目指します』、『安心を提供し、地域でもっとも沢山の「心からのありがとう」を創り出し信頼され、尊敬される社会を目指す』ために、乗車頂いたときに安全に目的地まで運んでくれた、いい思い出になったと思ってもらえるよう努力していきたいですね。そうすることで、平和に少しでも近づけるよう貢献していきたいと思っています。

島田:なるほどですね。経営理念を遵守していく従業員への想いはありますか?

山内:勉強を続けてほしいという想いはあります。例えば海外のお客様が増えてきていることもあり、週2回英会話教室を開いていますが、いかに従業員に火をつけて参加してもらえるかが重要だと思っています。お客様に対してこうした方が満足してもらえる、こういうサービスが必要だ、といったことを考え続け実践していってほしいと思います。また、イノベーションを起こしてほしいとも思っています。例えば会議でも意見を言いたいけど意味がない、と思ってしまう状況が一番もったいないので、みんなの架け橋になって議題を盛り上げていきたいと考えています。
最終的に成功するのは運だという声もありますが、その運を掴むためには最低限努力をしないとチャンス自体訪れないと思います。
弊社は1951年創業で今年73年目を迎えています。私が60歳になるとき創業100周年となります。100周年を目指しつつ、ただ漫然と100周年を迎えないよう、更に人に必要とされる会社にしていけるよう精進していきたいと思っています。

島田:記念すべき100周年を是非迎えて欲しいと思います。本日は貴重なお話しをありがとうございました。

山内:こちらこそありがとうございました。

詳しくはホームページをご確認下さい!
https://www.tsubame.co.jp/

プロフィール

山内 翔太(やまうち しょうた)
1991年広島生まれ。
証券会社やコンサルを経て2022年末に家業へ参加。
最近目標は、筋トレを続けて体重を10キロ増やす・仕事を頑張ったご褒美として、タイへゴルフに行くこと。

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