はじめに
島田:厨房業界とは異なる業種の方と対談する『REAL』。第12回となる今回は、私とは学生時代からの同級生で長い付き合いでもあります、株式会社しちだ・教育研究所上席執行役員法務管理室ガバナンス・マネジメント室室長山﨑さんとお話しさせていただきます。本日はよろしくお願いします。
山﨑:こちらこそよろしくお願いします。
歴史
島田:革新的な教育方法として世界中で高い評価を受けている「七田式」ですが、その歴史を教えて下さい。
山﨑:創始者である七田眞さんは、もともと英語教育を中心に家庭教師をしておりました。昭和30年代、『色々な生い立ちがある中でも、子どもは誰しもが天才的な能力を持ち得る』と考え、独自の教育理論を構築し、0歳教育本を出版しました。子どもは皆が基本的に天才であり、6歳頃までに何を学んでいくかで決まるといち早く気付いておりました。
0歳教育という、当時6歳以下の未就学児に対して教育を行うという考え方は非常に珍しく、他の教育方法とは一線を画すものでした。信念を貫くことで、新しい教育アプローチを実践したことが七田式のスタートになります。
七田式
島田:具体的に七田式とはどういった内容ですか。
山﨑:“認めて・ほめて・愛して・育てる”これが七田式教育となります。七田式を一言で説明するのは難しいのですが、大量の情報を高速でインプット・アウトプットさせる能力を高めるために、楽しく学んで子どもの能力を生かしつつも、教育を受けるストレスにならないよう施していきます。さらに記憶力の向上やいろいろな計算能力、知恵や文字の整理など関連付けて能力を高めていくのが七田式と呼ばれています。
また、七田式は“母親教育”という言い方もでき、幼児の知育能力を開発する手法として七田式を展開しております。胎児の頃から中学生まで、最近では高齢者の能力開発、脳の刺激を行うといった教育ノウハウも展開しております。
島田:教育の中で、右脳教育とはどういうことを行っていますか。
山﨑:七田式は“右脳教育のパイオニア”という言い方をされるのですが、正確には右脳から左脳、つまりは全脳を使うことを教育しております。右脳は直観力などといった、とてつもない能力を発揮します。子どもは右脳中心で動いていますので、能力を上手く使ってあげて開発していき、最終的には左脳に落とし込んでいくといった教育を行っています。
現在、教育機関と連携して幼児の能力開発に関する研究を進めています。
例えば、東京大学の大学院において、「なぜ子どもは能力開発が非常に発達するのか」といったテーマについて科学的に研究を行っています。我々の得意としている母親の接し方がいかに子どもにとって重要かといった内容を教育機関と連携することで有益な情報やエビデンスを提供できるよう努力しています。
実際に結果がでているので、我々が積み重ねてきたものは、意味があったんだなということに確証を得ているところです。
教育の違い
島田:子どもへの教育と大人への教育に違いはありますか。
山﨑:一般的に、大人は左脳中心に反復して詰め込んで覚えていくという形ですけど、子どもは直感力とかインスピレーションといった形で、情報摂取量が大人に比べて全然違うため、右脳中心とした教育をしていく形になります。大人になるにつれて、右脳から左脳を開花させていき、最終的にしっかりと定着させていく形になります。
島田:世界に向けての教育はどうですか。
山崎:そうですね。現在17の国と地域で展開していますが、どこの国に行っても、七田式の普遍性は、他所の国にはない教育法ということで非常にご好評をいただいております。やはり国が変わっていくには、子どもの教育を変えていかなければならないというところは世界共通だと思います。そのために、あらゆる国に対して我々も準備をして、いわゆる地球規模で七田式の普遍性を問うていくのは明確に我々の社是の中にあります。
またグローバル化にあたって、知的財産をしっかりと保有していなければいけないと感じています。塾業界は意外とここの認識が弱いです。七田はそこの部分を早くから手をつけてきましたので、他と比べて拡張させやすいです。知的財産にかかるコストはとても高いですが、惜しまず進んでいっております。
教材
島田:教材を作るのに何か気をつけていることはありますか。
山崎:我々の教材は流通アイテムとすれば国内でトップレベルだと思っています。子どもが取り扱うものですが、玩具と違って大量に消費していくようなものではないので、随所にいろんな工夫があります。
特に楽曲の教材は日本一のアイテム保有数だと思います。子どもが受け入れやすい音階や曲調、歌詞、歌う人の声質、音階の高さ、色の使い方などいろいろ試行錯誤して教材を開発しています。我々の場合は教材も含めてですが、ノウハウも含めた知的財産を中心に、教材を保全して運営していますので、著作権やデザイン、作った教材の商標登録も非常に意識して作っています。
島田:日々進歩している教育現場だと思いますが、デジタル化は取り入れていますか。
山崎:日本国内のみならず世界中でデジタル化の潮流があるのを感じており、我々も進めていかざるを得ないと思います。ですが、子どもに弊害があるようなデジタルの使い方というのは避けていきたいなとも思っています。
例えば音楽教材だと、教室のお客さんにはしちだBOXという、言うなればサブスクのようなもので、すべてのCD・DVD音楽教材をご家庭のスマホ等で聞き放題になるというものを制作しました。他には、おさらい教材として、教室で授業をした後、家に帰ってその動画を見ておさらいができるといったアイテムもあります。こういったアイテムはデジタルの中で取り組んでいかないとできなかったと感じます。
ですが、例えば絵本の読み聞かせを、タブレットで全て賄うようにするといった、まるで親に取って代わることは全く考えておらず、そうならないよう線引きをしっかりとしています。デジタル化は取り組んでいきますが、なんでもデジタル化するわけではなく、線引きを行いながら、デジタルだからこそできる教材の提供を考えております。
今後の目標
島田:七田式を通じて子どもがどういう大人になってほしいと思いますか。
山崎:やはり世の中にとって役に立つ人材に成長してほしいです。そのために、我々は幼少期に育成のお手伝いをしているといった感覚ですかね。幼少期に七田式で教育を受けた大人が、自分の能力で道を切り開く力を養ってほしいと思っています。
島田:七田式の今後の目標はなんですか。
山崎:地球規模で七田式の普遍性を問い、教育を広めて子どもたちに有用な教育を施したいと思っています。特にアフリカとか南米といったところは、まだ我々の未開の地ですが、こういった地域にも子どもの能力を高めたい、教育で変えていきたい、そして国を変えたいというのが私たちの最終目標です。
それに伴い、新たな国でビジネスを広げていくというところで、若手の社員がどう向き合って知識を身につけて、開拓をしていくかというのも我々の大きなテーマとしています。人材を育成させるということでも、まだまだこれからやるべきことは多いなと考えています。
島田:本日は貴重なお話しをありがとうございました。
山﨑:こちらこそありがとうございました。
しちだ・教育研究所
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七田式教育についてもっと知りたい方は下記URLからホームページをご確認下さい!
■七田式ホームページ:https://www.shichida.co.jp/
プロフィール
山﨑 愛(やまさき いとし)
七田式を世界に広めるために各国を飛び回り、現地オーナーとの交渉を行ってきた。 島田とは学生時代からの付き合い。自動車やダイビングなどプライベートの話は尽きない。