はじめに
島田:厨房業界とは異なる業種の方と対談する『REAL』。第8回となる今回は、日本の素顔と日本人の現在を世界に発信している、JAPAN Forward編集長内藤さん、Japan 2 Earth編集長吉村スーザンさんとお話しをさせていただきます。本日はよろしくお願いします。
内藤:こちらこそよろしくお願いします。
吉村:よろしくお願いします。
島田:それでは、最初にJAPAN Forward、Japan 2 Earthについて教えてください。
内藤:JAPAN Forwardは、世界が大きく揺れ動く中、日本での主要な出来事や論点、歴史文化に至るまで等身大の日本の姿を世界に届けることを目的として設立した英語ネットメディアです。
Japan 2 Earthは、JAPAN Forwardの第4のメディアとして、地球環境を守り、SDG’sの目標を達成するために貢献する日本の市民やコミュニティ、企業、団体の取り組みを世界に紹介することで、地球環境を守る仲間やパートナーを世界に増やすことを目的に設立しました。
日本の金融政策
島田:現在JAPAN Forwardにて日本の様々な内容を海外へ発信されているとのことですが、その中でも興味関心がある日本の政策についてお聞きできればと思います。
現在、岸田首相が様々な政策で賛否両論がある中、気になっているのが、中小企業に対して金融機関がどういう形で転換していくのかということですね。我々含めて商売人は与信管理が特に難しいと感じていますが、政策についてどうお考えでしょうか?
内藤:コロナ禍で起きている現実の経済状況と、岸田首相の考える新しい方針・政策の理想があっていないと思います。例えば、中小企業への金融緩和を掲げるのではなく、地方銀行や信用金庫に向けた緩和を金融庁含め、ルール改正していく政策が必要かもしれませんね。
島田:そうですね。他にも解雇について緩和の考えがありますが、整理解雇の4要件があるので、特に大手企業は従業員をクビに出来ないですよね。そうすると経営者は内部留保を出すのか出さないのかということよりも、人件費といった固定費をどうするかが課題だと思います。
フレキシブルな対応が必要とメディア等では言われていますが、企業側としては組合等色々な対応が必要となるので、政府が企業側や失業者側それぞれに何通りか支援を実施して欲しいとは思いますね。そういう政策がある中で、所得倍増計画に繋がっていくと思います。
内藤:その通りだと思います。
岸田政権
島田:今年の5月にG7サミットが広島で開催されますが、岸田首相は地元ということもあり、5月までは首相を続けようと考えているのかもしれませんね?
内藤:以前政権の幹部の方とお話しをする機会があったので聞いてみたのですが、支持率が低空飛行の状態でも、現状岸田首相以外に選択肢がないと仰っており、そういう分析されているんだなと思いました。
島田:なるほどですね。個人的にですが、意外といい政策を実施するのでは?と期待しています。
というのも、今回の防衛費増額により多くの駐屯地で、弊社厨芥処理機の今まで眠っていた修理や更新の話が持ち上がり、恩恵を受けています。
内藤:外交的には防衛費増額という姿勢を見せることで、諸外国に準備していますよ、戦争はしたくありませんよ、というメッセージを発信しているのだと思います。実際ロシアとウクライナのようなことがまさか起きるとは思ってもいませんでした。
中国
島田:現在この情勢ですが、コロナ前から中国側と取引がありビジネスを進めています。弊社の厨芥処理機を導入する場合、日本では600ppmを超える排水は下水に流せない決まりなのですが、現在中国では生ごみの排水について基本的に規制は設けられていないんですよ。
内藤:なるほど、中国では何を流してもいいのですね。
島田:基本的にはそうなのですが、地方レベルで独自の規定が設けられていたりします。例えば、中華料理は油を多く使うので、油が混じった残飯をどういう形で排水していくかを考える必要があります。
内藤:我々も中国について知らないことが多くありますので、排水の話は興味深い内容ですね。
規制
島田:排水にかかわらず、日本には規制が多いと感じますがどうですか?
内藤:確かにそう思います。例えば、役所では内容が適しているのか規約に反していないか等のチェックをすることが仕事になっていますよね。そうではなく内容に深く踏み込めるようになれば楽しいんだろうなと思いますよね。
産経新聞社も一度作ったシステムを続けているオールドビジネスモデルなんです。ですが、我々がやろうとしているのは、そこから飛び出しているので自由度がありそれを楽しんでいます。規制を自分から取っ払っている中で、ここから何ができるかということを結果で見せてあげることで、いずれ産経新聞社の上層部にも新たなビジネスモデルとして認知してもらうことが重要かなと思っています。
島田:なるほどですね。私も紙で産経新聞を読んでいましたが、今はやめてしまいました。個人的な感想ですが、出ている情報が追いついてないと思ったんです。例えば、YouTubeだといつでもすぐ見ることができるし、内容もわかりやすいですよね。
内藤:そうなんです。今まで新聞がほぼ独占していた情報の発信について、SNSをはじめ世の中全体がメディア化していることに合わせていかないといけないんです。
仕事
島田: 仕事について、色々な人が携わる仕事のスキームを作ると生産性が上がると思っています。例えば、編集長がやっている仕事を他の人が同じようにできないというのは会社にとって非常にマイナスだと思っています。なので、誰もができる形作りをしようとやってきました。内藤さんの仕事についての考え方はありますか?
内藤:私も産経新聞社で30年近く勤めていたのですが、約半分が外国の生活でした。そこで見たのは、私たちが知っている日本ではないようなことが外国で伝えられていました。こういった状況を変えなきゃいけないのではと思い、英語でのメディア発信をやりましょうと発案したんですが、新聞業界が右肩下がりになっている現状でそんな余裕はないと言われました。
ですが、最終的に産経新聞社ではなく一般社団法人として2017年にJAPAN Forwardを設立することになりました。最初はお金がない・経験がない・人がいない、あるのは熱意とやらなきゃいけないミッションという状態でのスタートだったので、社内的には出世から外れた人みたいな立ち位置に思われていたと思います。
今では風向きが変わって、6年間で4つメディアを立ち上げることになりました。この中でJapan 2 Earthはビジネスを作っていきましょうといった形で立ち上げました。というのも、JAPAN Forwardは日本の見方での情報を英語でどんどん発信していくというのがコンセプトなんですが、Japan 2 Earthではただの情報ではなく、日本には特に環境問題SDG’sに関して面白いことをやっている会社がたくさんあると世界中に発信しています。
吉村:例えば、九州の方で老人用オムツをリサイクルしている記事(引用:https://featured.japan-forward.com/japan2earth/2022/11/1647/?lang=ja)を発信したら、ヨーロッパの方から「違うやり方でリサイクルをしています、記事も面白かったのでぜひ情報をシェアしてください」といった反応が来たりしました。
内藤:日本で生活していると、なぜ英語で発信する必要があるのか、と思ったりする人もいるのですが、この九州の件のように、日本の外から見るといかに面白いことをやっているのかという発見があります。そういったものをちゃんと発信してあげることで、世界で関心を持っている方とビジネスにも繋げることが出来ればと思いますし、日本に対する考え方や外国の考え方も変わっていけば嬉しいですね。
今後の展望
島田:今後について何か考えがありますか?
内藤:世の中が変われば人も変わり、人も変わればカルチャーも変わっていく、時間はかかりますが我々はそのための準備をしているんだと意識を持つようになりました。そのためにお金がないから何かを削ろうといった考え方ではいずれなくなってしまうと思います。そうではなく、色々なことを最前線で経験して、いずれ訪れる変化に対して準備をしておきたいです。
また、我々メディアに必要な信頼の確保や、例えばYouTubeなど色々な発信媒体を持っていきたいと考えています。世の中はこういうものだという偏った見方ではなく、これから何が起こるか本当に今わからない状況なので見極めて行動していきたいと思っています。
島田:なるほどですね。紙以外にデジタルの発信媒体も主流になってきており、情報の受け取り方も人それぞれに変化しています。そのためにも、何が正しくて何が間違っているのか色々経験して勉強していく必要がありますね。本日は貴重なお話しをありがとうございました。
内藤:こちらこそありがとうございました。
吉村:ありがとうございました。
プロフィール
内藤 泰朗(ないとう やすお)
1989年に産経新聞社入社。モスクワ駐在中の2005年には、産経新聞の連載「日露開戦から100年 第2部 帝国の憂鬱(ゆううつ)」が評価され、ロシアの独立団体、メディアソユーズの「ゴールデン・ワード賞」銀賞を受賞。
プロフィール
吉村 スーザン(よしむら すーざん)
米国出身で、20年以上日本やシンガポールなどアジアを拠点に活動。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンでは環境活動や広報を担当。15年以上に渡り、和文英訳や環境関連の学術論文や企業レポートなどの編集作業に携わる。