対談No.2 株式会社ハンズ

対談:REAL

株式会社ハンズ営業部次長 河野 太郎×フロムシステムダイレクト相談役 島田 克己

島田:厨房業界とは異なる業種の方と対談する『REAL』。今回は第2回として保険代理店であり、長年弊社の保険を担ってもらっているハンズさんと保険と企業の関わりについてお話しさせていただきます。本日はよろしくお願いします。

河野:こちらこそよろしくお願いします。

保険代理店と中小企業の関係

島田:さっそくですが、保険代理店と中小企業の関係についてどう思いますか?

河野:我々は広島という地域に密着して、企業との関係をつくってきました。その関係性は歴史が長く、今では人事労務や財務、法務など保険以外の様々な相談も受けています。

島田:企業からの保険以外の相談はどのようなものがありますか?

河野:そうですね、例えば人材育成とか福利厚生の相談があります。

島田:それは保険に絡めて相談をするのか、それとも慈善的に相談を受けているんですか?

河野:例えば労災の上乗せ保険で簡易的に従業員のストレスチェックをやりたいとか、福利厚生の充実として401k(確定拠出年金)導入など、保険に紐づく規定の部分で様々なネットワークから相談を受けています。

退職金制度

島田:中小零細企業は退職金の積み立てや、保険に入ることについてネガティブなとこが多いと思いますが、今後の退職金制度の考え方についてどう思いますか?

河野:従業員の立場からいくと、会社に退職金制度がある方が拠出しやすいです。今はセカンドキャリアという言葉もある通り、その会社を勤めた後どうするのか制度が必要だと思いますね。

島田:セカンドキャリアの頭金としてですか?

河野:そうですね。国は自己責任と言いますが、今は年金制度があてにならないので。

島田:退職金制度の導入は経営者にとってもメリットがありますか?

河野:制度の中で従業員が拠出することで社会保険料が軽減されることですね。社会保険の適正化という言い方もするのですが、社会保険料は年々上がっていますので、その対策になります。

島田:適正化ですね。

河野:ひと昔前は、いわゆる生命保険を活用して節税をしながら積み立てするやり方がスタンダードだったんですが、そういう節税目的の保険に対して、金融庁から保険業界へ指摘が入りできなくなりました。既に加入しているものは良いですが、新しく加入することができないので、その他のツールとして401k(確定拠出年金)が出てきました。

島田:これもメスが入ることがありそうですか?

河野:いや、これは国がもっと導入してくれと推してますね。

島田:なるほど。401k(確定拠出年金)を導入することで従業員は積み立てしながら社会保険料を軽減でき、経営者の負担も軽減できるという事ですよね?

河野:そうですね。

島田:中小零細企業の導入はどんな感じですか?

河野:401k(確定拠出年金)は2人から加入することができるので、経営者と奥さんだけが加入する場合もあります。会社がいくらか支援してあげれば従業員も加入しやすいんですけど、そもそも会社が401k(確定拠出年金)を導入していなかったり、従業員の方が加入を考えていない場合もあります。

島田:401k(確定拠出年金)を導入している企業で、従業員が参加してない企業はどれぐらいありますか?

河野: 4割ぐらいですかね。ですが従業員説明会などで内容を知って頂くと、従業員の方から加入したいという声があがりました。我々のミッションでいえば、より多くの方に周知して頂き、参加しやすい環境作りを目指しています。今コロナ禍で対面型の営業とか説明会もしにくい状況ではあるんですけど、オンラインとか活用してやっています。

生命保険

島田:我々の時代は保険の方が営業にやってきて、その生命保険に入ることが1つの定番であったけど、若い世代は生命保険についてどう考えるのがいいと思いますか?

河野:昔は保険の方が勧める保険に入り、保険に入った本人は実際に自分のライフスタイルに合っているのかわからないという感じでしたが、今は意向確認をして提案しています。

島田:意向確認?

河野:そうです。しっかりとお客さんの意向を傾聴して保険を組み立てていきます。

島田:なるほど。例えば生命保険に入って元来のような積み立てをしたらいいのか、それとも入院したら必要分のスポット的なお金がきちんともらえる保険に入るのがいいのか、もちろん意向の確認によると思うけど、どっちが今のトレンドですか?

河野:トレンドというよりは、今はお客さんがネットで調べられる時代なので簡単に比較ができます。なので下手な説明とか営業をしてしまうと、お客さんがネット情報の方を信じてしまう事もあります。我々のスタイルだと、積み立てをするんだったらここの会社のこれがいいと思ってメリット・デメリットをしっかり説明しないと、我々の価値がなくなってしまいます。

島田:生命保険の種類が増えただけであって、生命保険自体のニーズは十分にあるという事ですよね。

河野:そういう事です。例えば昔はガンで入院したときに手当てがありましたが、今はガンでも入院をしないので、そうなると一時金でもらう形の生命保険を提案しています。

働き盛り40代の保険

島田:世代によって対応する保険は色々あるだろうけど、例えば40代の人たちに対して有益な保険はありますか?

河野:働き盛りの40代に対してだと、例えば就業不能保険があります。死亡や後遺症以外の、いわゆる鬱とか病気・交通事故などによって要介護状態で働けなくなり、収入がなくなってしまうけど、住宅ローンの支払いなど支出があり今の生活を維持できなくなる場合の保険ですね。今は共働きが多い時代ですので、夫婦のうち片方の収入が途切れてしまったときの保険としてニーズがあります。

島田:例えば月額10万とすると永遠にもらえるんですか?

河野:保険に入るときに終わる期間と受け取る金額は決めるんですけども、その決めた期間は永遠にもらえます。共働きっていうのは2人の収入で生活を維持しているので、どちらか片方の収入が途切れたときのリスクが大きいですよね。なので奥さんが保険に入るケースが増えています。今は寿命も延びてきて、亡くなるリスクよりも働いている間に病気や事故に遭ってしまうなど生活維持ができなくなるリスクの方が高くなっています。

島田:なるほどですね。他におすすめの保険はありますか?

河野:ありがちですけどガン保険です。今はガンのリスクが2人に1人って言われています。

島田:ガン保険で気をつける事ありますか?

河野:昔の保険は例えば100万円を受け取ったらそれで終わりなんですが、今のガン治療は10年かかると言われています。そのため最新の保険は一時金100万円もらった後、翌年も治療を継続している場合は、更に100万円がもらえるようになっています。

島田:そうすると、自分が加入している保険が治療を継続することになった場合、定期的にお金がもらえるのか、それともスポット的なお金を受け取ったらそれで終わりなのかどうか見直す必要があるということですね。

河野:そういう事です。そんなにコストをかけずに変更することができるので健康なうちに見直してほしいですね。

企業の保全

島田:次は企業について、零細企業はこういう保全をしておくべきという事がありますか?

河野:先程のガン保険にも繋がるんですけど、経営者の方が病気や事故などで就業不能な状態になったとき、会社が成り立たなくなる企業は多いですよね。そういうリスクを抱えているので、まとまった資金調達ができる保険をかけたりしています。

島田:今の会社を維持するために必要な資金調達ができる保険ということですね。

河野:経営者の方が就業不能な状態になると一気に企業が傾いてしまうこともあるので、健康経営とか持続・継続力強化とか企業の健康に関して様々な取り組みを行う支援があります。

島田:なるほど。

保険業界の今後

島田:保険会社は数が多いですよね。保険会社が後ろに控えて、代理店から販路を広げていくというのは保険業界のスタイルなんですか?

河野:昔からそうですね。損害保険の文化だと思います。ただ今は代理店の数も減ってきています。

島田:その理由はなんですか?

河野:保険会社が子会社を作って、そこに自分の社員を出向させて直接販売できる形にしてきているからですね。というのも、代理店が体制整備やコンプライアンス遵守をできていないケースが多かったので、自前で販売したりインターネットで仲介を必要とせずに販売することも増えました。

島田:AIで診断してもらうとかですね。そうなると保険代理店は今後どうなりますか?

河野:保険だけだと手数料も下げられて経営も行き届かなくなるので、401k(確定拠出年金)とか様々な付加価値のとこでビジネスをしていかないと厳しいですね。

島田:そもそも生命保険含めて、ほぼみんな保険に入っていますよね。

河野:今加入率98%ですね。

島田:これだけ大手がたくさんある中で、需要と供給のバランスはとれているんですか?

河野:生命保険のマーケット自体はかなり巨大ですし、昔の保険が役に立たないということもあるので、社会情勢や医療情勢にあった保険の定期的な見直しが必要ですね。

島田:なるほど。今後確実に人口が減少するけど、そうしたときに保険業界は10~15年後どうだと思いますか?

河野:損害保険のマーケットはかなり厳しくなってくると思います。なぜかというと、人口が減るので車の所持や家の建築が減ります。また今の若者思考でいくと物を持たないとすると物にかける保険もなくなる。そういう世代に対しての保険販売はかなり厳しくなってくると思います。なので我々は個人に向かってベクトルをむけるのではなく、中小企業に対していろんな付加価値を提供していく。企業もいろんな変化が加速してますので、逆に今の若い世代は大変な時代になってくるのかなと思います。

現状の明確化

島田:そうなると従業員には勉強してほしいですね。おそらく5年後にはいろんな企業がこんなに従業員は必要ないとなってくる。その時のために勉強をして物事の本質を見極める力が必要になる。経験値もさることながら勉強していろんな知識を整理して、次はどうするかっていうロジックがないといけない。

河野:アイデアとかクリエイティブなことは社内で研鑽できることもありますけど、やっぱり社外のいろんな人と関わることで生まれますよね。保険業界しかりですけど同じ業種の人とでしかアイデアを出してこないので、社外に出向したりいろんな経営者の方とお話しすることで我々も勉強させてもらえます。

島田:例えばこのコロナ禍だと従業員の給料といった固定費をどうするかと考えたときに、こんな子が入社したらいいな、こんなふうに楽しく働けたらいいな、みたいな考えでは成り立たなくなった。そうなる前に勉強や準備をすることで、ピンチに対しての答えが見えやすくなると思う。

河野:明確になった結果、今まで楽観的な考え方をしていたことが明るみにならざるを得なくなったということですね。

島田:今うちが創業21年目だけど、昔は従業員がどうだって考えたり遠慮したりしたけどそれが健全なのかと思って、いろんな人に会って教えを乞うて、方向転換した結果が今の状況。今の状況をいかに維持していくかという感じですけどね。今後も想像つかないような状況がいつ起きるかわかりませんが、今回の対談で色々と勉強になりました。引き続きご協力頂ければと思いますので今後ともよろしくお願いします。

河野:こちらこそよろしくお願いします。

島田:本日はお時間頂きありがとうございました。

河野:ありがとうございました。

プロフィール
河野 太郎(こうの たろう)
1979年生まれ。大卒後、父親が既に勤めていた保険代理店株式会社ハンズに入社。親子2代でお客様から愛される。広島本社にて直轄営業部門を経て、本社の要異業種ネットワークである中核代理店センター長(責任者)を務める。丁寧でこまめな対応、その気遣いに定評がある。プライベートでは子ども会ソフトボール監督、PTA会長を務め公私ともに充実した日々を過ごす。

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