対談インタビュー REAL No.6

対談:REAL

はじめに

島田:厨房業界とは異なる業種の方と対談する『REAL』。第六回となる今回は、フロムシステムダイレクトとパートナーシップを結び、オフィシャルパートナーとならせて頂きました、株式会社広島ドラゴンフライズで代表を務められております浦さんとお話しをさせていただきます。本日はよろしくお願いします。

浦:こちらこそよろしくお願いします。

やりがい

島田:“バスケットボール”というプロスポーツ業界に携わるにあたってやりがいはありますか?

浦:スポーツは公共の財産で誰のものでもないと思っています。それで食べさせて頂くというのは気が引き締まる思いで活動しております。良いことばかりではなく悪いことも色々ありますが、大きな責務だからこそだと思い、それも含めて楽しんでやっています。

島田:私も実業団を持つ色々な企業さんのお話しを聞くと、皆大変な思いをされておりました。ちゃんとしたところには助成金などもっと手厚い補助があってもいいなと思いましたね。日本では野球が何となくプロスポーツ業界の中心になっていると感じますが、バスケットボール含めて色々なプロスポーツが全体的に活性化していけばいいなと思います。

チーム運営

島田:バスケットボールチームはどういった運営をしているのですか?

浦:バスケットボールはチームの人数が選手とスタッフ合わせて約20人とかなり少人数です。野球やサッカーだと100人単位の人たちが関わっていて、例えば1回遠征行くだけで1,000万円近くかかるので、それに比べると経費はかなり抑えられています。
また、Bリーグは2015年創立でまだまだ創成期ですので、選手もより条件がいいクラブへ移籍するといった入れ替わりが激しい状態です。選手をきっかけにクラブを応援してくれるファンの方が多いのですが、他の選手の顔と名前を覚える前に入れ替わってしまい、クラブの応援が難しいと感じてしまいます。
その為、スタッフには選手だけではなくクラブのファンになってもらわないといけないと言っています。クラブの考えや想いをスタッフ側から働きかけてファンを作らないといけないと思っています。やっぱりクラブの方針とか目指しているところが明確になっているクラブはファンの方が多くいらっしゃいますからね。

選手のスカウト

島田:選手のスカウトはどうされていますか?

浦:色々ありますが、例えば既に国内でプレーしている外国人選手は契約金が高いので、海外で見つけてスカウトする方法が多いですね。

島田:なるほどですね。日本でのジュニア育成はあるのですか?

浦:子供の頃からプロになるための奨学金など、制度が充実するように投資できればと思ってはいるのですが、現状は、まだまだ自分達のチームのことで精一杯なので、今後の課題の1つだと思っています。

選手間のコミュニケーション

島田:選手の皆さんは普段どのようなコミュニケーションをとられていますか?

浦:バスケットボールは自分がプレーの中で生きるために仲間に助けてもらったり、逆に助けたりすることが必要なスポーツですので、試合や練習以外でも皆で食事に行くなど、結構コミュニケーションをとっています。

島田:プライベートにはなりますが、選手皆さんの行きつけの店はありますか?

浦:あると思いますよ。どこかとは言えませんが、ぜひ探して頂いて遭遇してもらえればと思います。

年棒

島田:バスケットボール選手の年棒は平均どれくらいですか?

浦:平均すると1,500万円から2,000万円ぐらいです。ちなみにプロ野球が5,000万円、Jリーグが2,000万円と言われています。平均金額はJリーグにだいぶ近づいていますが、Jリーグにはトップだと年棒2、3億円の選手がいます。Bリーグには年棒1億円ぐらいの選手はいます。

島田:Jリーグとほぼ同額の平均年棒があるとは意外でした。夢がありますね。

浦:もちろん新人選手は年棒が何百万円スタートと幅はありますが、それでも夢がある業界だとは思います。

セカンドキャリア

島田:バスケットボール選手の引退はどれくらいの年齢ですか?

浦:平均すると28歳から30歳ぐらいですね。同じくサッカーもプレー中走り続けたり、他選手との接触があるので引退年齢は早いですが、バスケットボールは技術で補うことが出来るので、平均するとサッカーより引退まで長くプレーしているかなと思います。

島田:セカンドキャリアはどうされていますか?

浦:セカンドキャリアはBリーグ全体の課題だと思っています。Bリーグができてまだ約7年で引退した選手は少ないので、解説といった仕事の枠がまだある状態です。ですが、今後飽和状態になってくると、育成やジュニアコーチの道もあるかと思いますが、それ以外はいよいよ仕事がなくなってしまいます。
その為、ドラゴンフライズではサポートの一環として、2年前から薬剤師の資格などを持ったジェネラルマネージャーを置いており、選手に対してマネーリテラシーやビジネスマナーなどセカンドキャリアに向けて教育を進めています。
NBA選手は平均年棒が15億円ぐらいなのですが、引退すると約85%以上の選手が生活レベルを落とせずに自己破産するんです。その為NBA全体で投資などの教育を徹底しているぐらいお金の使い方に難があるんです。

島田:年金制度はありますか?

浦:NBAはあります。日本は野球ぐらいしかないです。そういった制度をBリーグでも作りたいのですが、まだまだ先だと思います。選手のセカンドキャリアは、せっかくバスケットボールやってきたのでそれを生かした仕事に就けるようになっていければと思っています。

アリーナ構想

島田:現在アリーナの新設計画がありますよね?

浦:現在アリーナの新設について2年以内にある程度の計画を提示する予定です。その中でアリーナ要綱というのがあり、トイレ数の確保やVIPルームの作成が必要なんです。
他にも脱炭素についての要綱では、駐車場を作らずレンタサイクルを充実させたり、JRなど公共交通機関の駅最寄りに建てた方が自動車のCO2削減に貢献しているとして評価が高かったりします。
また、バスケットボールの試合以外の日程もコンサートやライブといったイベントで埋めていくことで、地域活性化を実現できればと考えています。広島も随所で各国の要人が来訪しているので、広島を盛り上げるためにアリーナのビジネスモデルを海外の成功事例を目標に考えています。

バスケットボールを身近に

島田:バスケットボールは野球やサッカーに比べるとまだまだ身近にないと感じます。チケットやグッズがもっと身近に手に入ればいいなとは思います。

浦:仰る通り、皆さん広島にバスケットボールチームがあるということぐらいは知って頂いているのですが、実際に試合を見に来てくれる人はまだまだ少ないんです。色々見ていると、初めての人は1人では来ずに複数人で来る傾向がありますので、いかに色々な人を誘って来てもらうか、そして次も観に来てもらえるようにすることが課題です。
まずは試合に来てもらえるようにすることがスタートなので、少しずつでも来場者が増えると嬉しいです。

島田:本日はバスケットボールのプロスポーツ業界について貴重なお話しをお聞き出来ました。ありがとうございました。

浦:こちらこそありがとうございました。

株式会社ドラゴンフライズ代表取締役社長
NOVAホールディングス株式会社取締役
を兼任

プロフィール
浦 伸嘉(うら のぶよし)

1980年生まれ。広島県出身の元プロバスケットボール選手。ポジションはポイントカード。2016年からBリーグ広島ドラゴンフライズの社長を務め、2020年にB1リーグの昇格を果たす。クラブスローガンである「広島に、バスケでつながる風景を。」を実現するためにスポーツを通じて「広島らしさ」を追求した形の社会への貢献を使命に活動。

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