対談No.1 帝国データバンク

対談:REAL

帝国データバンク広島支店情報部部長 藤井 俊×フロムシステムダイレクト相談役 島田 克己

島田:本日はよろしくお願いします。今回の対談の主旨なんですが、我々厨房業界で主に仕事をしておりますが、その業界ではない異業種の方と対談して、その内容をウェブに載せていきたいと思っております。
今回がこの企画の一発目ということで、帝国データバンクさんにお話ししていきたいなと。

藤井:よろしくお願いします。

地方銀行と中小零細の関係

島田:現状の飲食業界だと全体の約6~7割ぐらいは施策でリスケジュールを行えばいいかなと思っていますが、与信管理していく中で、とある銀行の支店長に聞いても今後どうなっていくのか本当にわからないと言っていました。
こういった飲食店をとりまく環境を異業種である帝国データバンクさんの角度から見たときにどのようにお考えなのか?

藤井:コロナ直撃の業種、例えば飲食店・旅行業・ホテルの倒産件数を見ると飲食店の倒産が圧倒的に多い。
件数でいくと、ホテル・旅館の6倍、旅行業社と比べたら10倍以上も倒産しています。
なぜかというと、参入障壁がすごく低くて誰でもすぐ始められるといった新陳代謝が活発な業界なんですね。
なので、コロナで一旦閉めている間に協力金とかとりあえずお金をもらってこれからどうしようかなと考えている店や、そのまま倒産するというところも出てきそうです。

島田:例えば銀行から支援を受けている中規模クラスの飲食業で、先程のリスケジュールの状態が続いているところっていうのは、実際持ち直すものなんですかね?銀行が手を離すのか離さないのか?

藤井:銀行はすぐに手を離すことにはならないと思います。金融機関はとりあえず待ちますよってなっています。
“貸付条件の変更等の状況について”の資料によると、債務者が中小事業者である場合、例えば借入金の元本返済を半分にしてくれっていう依頼をメガバンク・地銀・その他の銀行で申請したらほぼリスケジュールは認められるという状況です。
だけど、待つけど返せるあてはあるのかということは金融機関も聞いてきます。例えばゼロゼロ融資で借りたお金を元に金融機関の利息だけ支払えているうちはまだ大丈夫でも、借りたお金が底を尽いてしまったらそこで終了となってしまうので。

島田:そこにはニューマネーは出ますか?

藤井:難しいですね。
ニューマネーを出してもらうには、経営を軌道に乗せてお金返せるようになるという計画が必要だと思います。

コンビニのこれからと求人雇用

島田:コンビニ事業についてですが、現状大変なのは勤怠管理と発注で、これらを一任管理したいという考えがあります。
勤怠管理については来年1月から弊社の事務所で運営する店舗全てを管理し、発注についてはあと2年後には同じく一任管理する形にできればと思っているんですよね。
これは少し理想的かもしれませんが、週休2日制を導入するコンビニのスタイルを今後やっていきたい。それと無人店舗をやろうということで、その第1号店を広島で展開したいなと思っています。
また雇用について、広島県では今60%後半ぐらいの内定率と出ていますけど、今本当に求人が来なくて。雇用についてなにか考えがありますか?

藤井:リーマンショックのときは有効求人倍率0.5倍とかなり低かったんですよね。けど今は1.3倍っていう状況なので、仕事はある程度選べるっていうところもありますが、みんなどこに行っているのかな?という印象ですね。

島田:給与?休み?それとも仕事内容?どれが一番若者に刺さるんですかね?
大手さんのようなネームバリューがあればいいんでしょうけど、そうでないところはやはりプロモーションがなかなかうまくできてないということなんですかね?他にはSDGsが~っていう人がいますけど。

藤井:そこまで考えている学生はいないんじゃないですかね。
それより昔と比べてみんな育ちがよくなったんだなっていうような気がしますね。あとは物の考え方や価値観が大分違うのかなって思います。
例えば下宿生活や奨学金を借りたりするのを含めると、300~400万円ぐらい借金がある中で就職するってなったら普通は会社をやめませんよ。だけど今の子はやめるんですよね。

島田:藤井さんは採用するときどういうところを一番見てますか?私が面接をやっていくんですけど、その時かなり厳しいことを言っちゃってて。そしたらある日からぴたっと求人が来なくなったんですよね。ちょっと言い過ぎかな?と思うけどやっぱりどうせお金を使うのなら……という思いがあって。

藤井:いやいや、言いすぎるぐらいが私はちょうどいいと思うんですけどね。あんまり良いことばっかり言うと入ってから違うじゃないかってなるぐらいよりかはちゃんと伝えたほうがね。
他には例えば人づてからだったら、紹介するならちゃんとした人を紹介したいと思うし、逆に人に紹介されたからちゃんとしなきゃっていう、なんか昔の義理人情じゃないですけどそこが大事かなと思うんですけどね。

中国事業

島田:最近中国市場に注目しておりまして、中国人を頭に立てて事業展開しようかなと思っているんですけど、対中国のビジネスは実際どう考えていますか?

藤井:最も動向を注視する必要がある国ですね。それこそ世界的にみると、アメリカと並んで中国は大国ですね。経済成長率の低下や金融面での不安が以前より高まっていますね。

島田:なるほど。輸出については積極的に考えていますか?

藤井:そうですね。やはりマーケットとしては大きいですからね。

島田:うちは家庭用のディスポーザーを作っているんです。日本でシェア率NO.1と海外でも一応知名度があり、中国市場にも事業展開したいということで、中国系の商社と取り組みを続けています。
中国経済の問題や半導体不足の影響で少し煽りを食らっていますが、今半導体を使用しない製品も作り出して工夫しながらやっています。
ただ今後どんどん中国に突っ込んでいいものかな?という思いも少しありまして。

藤井:それはね、日本から輸出している会社はどこもそう思いながら覚悟決めてやっていると思いますけどね。

会社の栄枯盛衰

島田:帝国データバンクさんの仕事を長年されている中で醍醐味はありますか?

藤井:私がいる情報部っていう部署は倒産を追いかけるのもひとつの大きな仕事となります。業績が良くなっている会社も見ているし、悪くなって苦しい状況の会社も見ています。

島田:それを経験として経営者に発信していくと。

藤井:そうですね。悪くなるケースもいろいろありますよね。例えばちょっと余裕ができて、すぐに調子にのって悪化した会社もあれば、代替りしたけど経営者に向いてなくて会社が傾くっていうのもありますし。逆に一発勝負で当たって大きくなったっていうところもありますね。

島田:なるほど。悪くなる会社の傾向は何かありますか?

藤井:今までいろいろ見てきて、こういう傾向が出てきたら悪くなっていくというのはありますね。私がよく話しするのは3つの「ない」です。
1番は金がない。当たり前の話なんですけどね、お金があると潰れないということで。
2番は運がない。やはり運のあるなしの差って大きいと思います。経営者の勘どころというか運をつかんで大きくなるという面は大いにありますね。
3番はだらしがない。例えば支払いにルーズな会社とかですね。遅れた理由を聞いたら本来なら入ってくるお金が入ってこなかった、という言い訳はこの世界では通用しないと思います。そうなるかもと考えてちゃんとお金を準備しとかないといけないんじゃないのかと。信用っていう側面からいろんな人が見たとき、そういうのはだらしがないって思われます。

島田:最近、何か刺激になることはありますか?

藤井:広島では無いですが、芸能関係の会社で結構面白いなっていうジャンルがあります。アイドルの事務所なんですけれども、少し前までアイドルに少しもお金払えないような小さな事務所だったのが、この2~3年で本当にメジャーになりました。こんなことが起きるんだと。試行錯誤しながら結果を出したんだろうなと思いました。

島田:芸能は運も左右すると思いますけど、運をはこんでくる要素ってあると思いますか?

藤井:きちんと正しいことをやろうという心持ちがあれば、こういうことが起きるんじゃないでしょうかね。あとは大きい分かれ目が来た時に気が付くか気が付かないかという差は勉強だけじゃないと思いますね。

セカンドキャリア

島田:セカンドキャリアについて考えていますか?

藤井:一応考えてはいます。今と全く違う仕事も選択肢の一つとして考えていますね。

島田: 60歳からのセカンドキャリアを考えても、やっぱりお金がないと大変ですもんね。でも厨房業界の人はみんなその年齢になった時のことを考えてないですね、意外と。

藤井:多いですよね。うちの会社は55歳になったらアフター60についての研修をやってくれるんですよ。私は昨年受けましたけども、研修内で聞いたら65歳までは今の会社にいたいっていう人が8~9割占めていたんですよね。

島田:そうなんですよね。やっぱりセカンドキャリアのビジョンをしっかり持つことが大切ですよね。

藤井:それでいうと金融機関の方は結構しっかりしてる人が割と多いかなっていう印象ですね。例えば家のローンの完済とか人生設計をたてて、そこから逆算して~ってやっている人が私の周りでは多いですね。

島田:なるほどですね。

島田:本日は貴重なお時間頂きありがとうございました。

藤井:ありがとうございました。


プロフィール

藤井  俊 (ふじい さとし)

1965年生まれ。商社、通販会社での商品開発を経て1993年に帝国データバンク入社。高松支店・岡山支店での企業信用調査部門を経て、2010年10月から帝国データバンク広島支店情報部長へ。中四国エリアの景気動向や倒産状況について取材し、リポートを作成・発信している。わかりやすい解説、講演活動に定評。

タイトルとURLをコピーしました